2018年4月号
視点

未来に向けていまできること

「1-2=-1、0-1=-1、0-2=-2」。この引き算の答えはすべてマイナス。生まれてくる子供の数から大人の数を引いてみた。紙を折り畳むとその面積が小さくなるような勢いで人口が減っている。人口が減る地域はあの手この手で他地域から人が来てくれるようPRしている。世の中は物であふれ、誰が買っているのだろうと不思議に思うほどの物が店先に並んでいる。企業は競争意識の中で売り上げを伸ばそうと策を練っている。

いま、未来に向けて考えるべきことは何だろうか。拡大することではなく、体重を落としても筋肉量や骨量が十分な健康体のように、規模を縮小しても心身ともに豊かに暮らせる社会、少しぐらいの不便を楽しみ、自然と共に暮らす社会、そんな未来をどうしたら手に入れられるのか、ではないだろうか。便利さが当たり前になり人間力が落ちてはいないか?

思い込みを手放し、これまでの常識は横に置き、現実を客観的に見つめ、いま自分にできることを考えていきたい。変わりゆく社会の中で、常に自分らしく、なりたい自分を生きていくために、「感謝する、自分で考える、自分を表現する、チャレンジする」ことを人にも企業にも伝えていきたい。

(中川普巳重 福岡大学 産学官連携センター
産学官連携コーディネーター、客員教授)

1次産業の変革と地方創生のヒント

長野県内の産学連携のコーディネートに携わり、はや20年がたつ。「ハイテクノロジー、ナノテクノロジー、情報技術(IT)」という言葉の先行を少し懐かしくさえ感じる。自身としても千件を超える案件をサポートさせていただいたが、大化けした案件は片手で数える程度だ。先人の「千、三つ」の言葉の意味を、20年たってようやく理解した。

さて、自身の足らぬ力を反省する一方で、日本の食市場には、甘味の豊かなとうもろこし「未来」、イチゴの王様「あまおう」、種なしで皮ごと食べられるブドウ「シャインマスカット」「ナガノパープル」、コメの新品種「新之助」「風さやか」、青いカーネーション「ムーンダスト」などがあふれる。消費者の一人として、新製品の開発支援に携わる者として、公設の農業試験場や農業協同組合の方々による長年の地道な研究の成果に感服する。土壌や季節・天候などの多種の要件もあり、年間に試験栽培できる回数も制限されると聞く。

さらには、養殖のタイに畜養のマグロ、伐採・搬出から植栽を同時に行う次世代林業機械など、漁業・林業の分野でも研究成果の輩出は続いている。1次産業の変革は、地方創生の大いなるヒントとなる。注目していきたい。

(岡田基幸 一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)
センター長・専務理事/信州大学 繊維学部 特任教授(工学博士))

編集後記

東工大URAの原田隆氏から丁重なご案内をいただいた。「URAに一緒に考えてほしいこと」をテーマにした休日の研究会だ。独立行政法人工業所有権情報・研修館理事長の三木俊克氏を中心に、全国でURA業務に汗を流す面々が集う。仕事柄“産連”部署を中心とした方々と接する機会が多く、仕事を回していく上で悩ましい話題を耳にすることも多い。URA制度の整備が始まって7年、その業務の根源が揺らいでいるように感じる。主務が競争的資金の獲得なのか、研究のステージアップや実用化につなげていくことなのか、彼らの問いに対し明確な答えを出していかなくては“産連”の裾野の伸張はないのだろうか。

(本誌編集長 山口 泰博)