2019年1月号
特集 - 人材交流で分かる銀行と大学の本気度
福井銀行 
七人のコーディネーター

福井銀行は、つい最近まで福井大学に1人の行員をURAとして出向させていた。その後、組織的な産学官金連携を進めるために7人のコーディネーターのチームを発足させた。現場から見えてきた課題は何だったのか、同行の堀口祥氏に聞いた。

1人のURAから7人のコーディネーターへ

福井銀行
コンサルティンググループ
地域創生チーム 堀口祥氏

福井銀行は、福井大学との連携体制構築の一環で、2012年から同行の地域創生チームの1人を同大学の産学官連携本部へURAとして出向させてきた。

銀行はニーズとシーズのマッチングや、同行の顧客に対する技術相談に対応したい。一方、大学はニーズとシーズのマッチングに加え、学外の人材による産学官連携の裾野の拡大が期待でき、大学のシーズを広く発信できるメリットもある。具体的には、銀行経由での企業からの技術相談や補助金に関する相談会の開催、URAの企業訪問によるニーズ喚起とシーズ情報の提供などだ。

同行コンサルティンググループ地域創生チームの堀口祥氏も、2015~2016年の2年間、2代目URAとして福井大学に出向していた。

産学官連携の成果は1年や2年で生み出すことはできない。しかし、URA1人だけでは業務の継続性には限界があり、堀口氏は人材と組織の最適化が必要であると感じたという。そこで従来のURAとして出向する体制を、2017年4月から複数のコーディネーターが対応する制度に変更した。これにより、同年6月から福井県立大学とも体制を構築できた。

「ふくいオープンイノベーション推進機構」構成機関の連携概念図


組織的対応で継続性を保持

対応するのは福井銀行地域創生チームの7人だ。グループ会社の2人を含むメンバーが非常勤の産学官金連携コーディネーターとして委嘱を受け、大学との連携体制を敷く。

福井銀行の産学官金連携コーディネーター制度概要
1人の出向(個人)からチーム(組織)へ転換


彼らは、統括、福井市、嶺北(越前地方)北部と奥越(北東部の奥越前)、丹南(嶺北地方南部)、嶺南(若狭湾沿岸地域)、そして大学窓口と担当を明確にし、エリア別に担当者を決めた。また場合によって地域の企業を産業別に分類し受け持つこともある。県内のほぼすべての市町村に拠点を持ち、県内シェア40%以上を誇る第一地方銀行ならではの優位性を活用している。コーディネーター制にしたことで、人事異動などで人が替わっても継続的にフォローし、銀行として組織的な対応も可能になった。福井県では2015年6月、福井県経済団体連合会や県内の大学や高等専門学校、金融機関などが連携し、地域イノベーション創出のための「ふくいオープンイノベーション推進機構(FOIP)」を立ち上げ、オール福井でイノベーションの種をまき続けている。

(取材・構成:本誌編集長 山口泰博)