2019年1月号
シリーズ 人(ひと)
調査や情報収集、分析の経験を生かしてマイスタイルを確立

JSTの前身、日本科学技術情報センター(JICST)へ入職して24年。「イノベーションプラザ大阪が今の仕事の原点」という平原良広は、2016年から大阪オフィスでマッチングプランナーとして近畿・中部ブロックを担当する。

MPとして地域のイノベーション創出を支援

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)産学連携展開部地域イノベーショングループの平原マッチングプランナー(MP)は、大学卒業後、JICSTに入職。JICSTは、増大する科学技術情報の収集や分類、提供などを目的に、1957年当時の科学技術庁の下に設立された政府機関で、現在のJSTの前身の一つだ。

入職当初から6年半、科学技術情報のデータベース作成支援や調査分析など情報系の業務を担当し、その後、科学技術庁(現文部科学省)に出向、白書等の作成などに携わる。2001年に復職し、JSTが科学技術理解増進事業の一環としてCATVとストリーミング配信を専門に自主制作・放送する「サイエンスチャンネル」などのコンテンツ作成に就く。

現在のMP業務の起点となったのは、JSTイノベーションプラザ大阪への赴任だという。同プラザは、産学連携で研究成果を実用化に導くための事業を包括する地域事業推進部の管轄事業で、関西地区(大阪府、兵庫県、和歌山県)の管理が主な担当業務だった(2006~2012年)。

当時、このプラザやサテライトは全国16カ所に置かれ、JSTの地域事業の要として、地域におけるイノベーション創出を総合的に支援してきた。平原は「いずれも東京本部と大阪オフィスを行ったり来たりですが、特に、イノベーションプラザ時代は地方拠点にも人が多く配置され、活気があり、ベンチャー設立やヒット商品など多くの成功事例を出しました」と懐かしむ。その後3年間、東京で科学技術人材の育成やシステム改革などの業務を任され、2015年には再び大阪に戻った。

海外旅行先での一コマ


自分なりの業務スタイルを確立

JSTでは情報事業系、地域事業系、人材事業系と経験してきた。異動のたびに気持ちをリセットし、新たな仕事に臨んだ。基本的にそれらの事業には参考になる前任者や前例があったが、MPは人それぞれ産学マッチングするスタイルがさまざまで、経験もなかったことから、自分なりの業務スタイルを確立しなければならないのが大変だったという。

研究経験のない平原は、ビジネス講座への参加、図書館やインターネットなどでの情報収集を怠らないが、技術的な理解不足を痛感するという。だが、新米MPだからこそ、その指摘が意外にも要点を的確に捉え、新たな気付きとして感謝されることもあり、それがモチベーションになっている。MP業務には、成果を導き出すための中長期的視野が必要となるが、人事や任期などの異動が付きものであり、ノウハウの継承、相補的な協力、連携が不可欠と感じている。

また、大阪オフィスの設置により、地域で開催されるコンソーシアムへのMP参加や諸機関との連携や担当事業以外の相談など、JSTの総合窓口のように幅広く機能し、地域拠点として定着化、広がりを見せつつある。

「研究とビジネスの経験がない分、時間はかかりますが、申請書を読み込み、またマッチング先を丁寧に調査し分析するなどして、怠ることなく、これまでの経験を生かしたマイスタイルを確立したいです」と平原。調査や情報収集、そして分析は平原の原点。未経験の業務であっても、過去の経験はどこかで必ず息づくものだ。それが平原スタイルだろう。(敬称略)

(取材・構成:本誌編集長 山口泰博)